[事例]What is Design Thinking?
デザイン・シンキングとは何か。Dennis Boyle氏に学ぶデザインの思考と作法
デザインコンサルティング会社IDEOに勤め、同時にスタンフォード大学のデザインスクールでも教鞭をとるDennis Boyle氏が“Design Thinking(デザイン・シンキング)”という考え方、方法について語る動画を紹介します。
■“Design”とは
日本語においても、「デザイン」という単語は多用されるようになりましたが、Boyle氏はまず、Bruce Nussbaum氏の以下のような言葉を引用します。
90年代における“innovation”は技術を指したが、現在、“innovation”は“デザイン”の意味で用いられる。
その上で、デザインは、ものづくりと同義ではないことを強調し、真の意味でのデザインには、デザイン・シンキング(design thinking)というユニークな問題解決の手法が根底にあるといいます。
■“Design Thinking”とは
Boyle氏は、こう言いきります。
「デザイン・シンキングとは、人間を中心に考えたイノベーションのあり方(人間中心設計)である。」
Design thinking is a human centered approach to innovation.
また、そのプロセスは多様であるが、例えば次のような3つの段階を踏むといいます。
- Inspiration(ひらめきを得るプロセス)
- Ideation(概念構築のプロセス)
- Implementation(実現化のプロセス)
(それぞれ下層のプロセスを含めると以下のようになります。)
1: Inspiration
- Observe & Inquire
- Tell Stories
- Synthesize
- (Synthesize)
- Brainstorm
- Experiment
- (Experiment)
- Execute
- Spread
■“Inspiration”とフィールドワーク: 閃きではなく、共感の閃き
ここでは、一つ目のステップであるInspirationに注目しましょう。
Inspirationの段階の最初に“Observe & Inquire”とありますが、Boyle氏は「洞察こそイノベーションの原動力である(insights are the fuel for innovation)」と述べます。
洞察は、「街へ出て、観察を重ねる、人々が何を必要としているかを知ろうとするプロセス」であり、「デザイン思考家たちは世界というフィールドを、ただ単に確認、検証しにいく場所としてではなく、インスピレーションの源泉として使う(design thinkers use the world as a source of inspiration not just validation)」のだといいます。
こうして、現場から培われるのは、人々への共感(empathy)であり、それこそがデザイン・シンキングの出発点となります。「その人々たちの視点」に立つ事が、貴重な体験となるわけです。
このように、人間中心の視点や、フィールドでの共感という観点は、社会・文化人類学や、民族学、シカゴ社会学との親和性が高く、デザインコンサルティング会社でエスノグラファーが活躍していることも頷けます。
「街へ出て、観察を重ねる、人々が何を必要としているかを知ろうとするプロセス」は私たちFRADも大切にしており、見習ってゆきたいと思います。
*動画はiTunesUでダウンロードも可能です。
Design Thinking at IDEO by Dennis Boyle
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