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2012/10/18

MAKERS – The New Industrial Revolution by Chris Anderson

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 ロングテール(Long Tail)、フリー(Free)と、これからの時代を読み解くキーワードを紹介してきたクリス・アンダーソン(Chris Anderson)が、第三弾ともいえる書籍”MAKERS – The New Industrial Revolution”を発表した。邦訳書は来週発売予定だ。今回は、簡単に導入と、関連書籍を紹介したい。


▶何の本? 

 タイトルが示しているのは、端的にいうと「市井のものづくり人である”メイカーズ”によって、今始まりつつある新しいものづくりの運動が、今後新しい産業革命へとつながる(のはほぼ間違いないだろう)」ということ。 
 そう、タイトルのMAKERSは以前からカタカナで呼ばれている「メーカー(製造業)」ではない。アンダーソンのいうメイカーズは、新しいものづくりのサイクルを担う私たち一人一人の事だ。(紛らわしいので、新しい方はメイカーにしました。)


▶どんな未来が始まっているの?

 「これまでの10年は、ウェブを通じて新しいクリエーション、発明、コラボレーションを見つける時代だった。これからの10年は、ウェブで培われたこれらの方法を現実世界へと応用する時代だ。」(MAKERS, p. 17)
この二文から、本書が描こうとしている「これからの10年」の位置づけを知ることができる。すなわち、これから起きる革命には「これまでの10年」というテンプレート(ウェブが起こした革命)があるのだ。それは、ウェブ上での民主的なものづくりのサイクルである。実際、ネットに繋がるPCと、具現化出来るアイデアと、クレジットカードさえあればネットビジネスは直ぐにでもスタートする。

3Dプリンタをプリントできる3Dプリンタとして有名な "Replicator"

一方で、「これからの10年」は、身の回りのあらゆるものに同じ事が起きる。そして、デスクトップ・ファブリケーションマシン(3Dプリンタ<上写真>やカッティングマシンなど)は、これまでの10年で培われたものを、現実世界に適用するための橋渡しになるようだ。既に、ありそうでなかった調理用スプレー電源タップカバンがメイカーズ(私たち市民)のコラボレーションによって生み出されている。


▶メイカーズ・ムーブメントの3つの特徴

 メイカーズが引き起こす新しい運動"メイカー・ムーブメント"は、今はじまりつつある。上述のような、ウェブから現実世界への応用(あるいはビットからアトムへ)で生まれるメイカーズ・ムーブメントは以下の3つの特徴があるという。

1) デジタルDIY:デジタルツールを使ってコンピュータで作業し、デスクトップ・ファブリケーションマシン(3Dプリンタやカッティングマシンを使う) 
2) ウェブ世代なので、オンラインで成果物を共有したり、コラボレーションするのが基本。 
3) 同様のファイル形式を用いるため、デザインの共有や参加が容易。
(Ibid, p. 21) 

 以前紹介したことのある米Quirky社が仲介するコラボレーションは、「私たち(We)が私たち(Us)の為に作る」プロダクトの好例だが、世界中に展開するFabLabでは多くの人々が「私(I)が私(Me)の為に作る」プロダクトを生み出している。

Andersonの言う"The Long Tale of Things"の意味するところ。たぶん。*ちょっと修正

▶関連書籍

 実は(というか、もちろん)この議論を開始したのは、アンダーソンが初めではない。MITのニール・ガーシェンフェルドや、The Pirate's Dilemmaマット・メイソン、フリーカルチャーを作るためのガイドブックを執筆されたドミニク・チェンら、多数の書籍が先行し、「新しいものづくり」と「第三次産業革命」の話をしている(同時に参照されたい)。

画像は、マット・メイソンによるThe Pirate's Dilemma。
扱っているトピックは、DIYムーブメントから、オープンソース、
UKの海賊版ラジオ、3Dプリンタなど。
アンダーソンは、言わばこれら今までに出てきた議論を踏まえ、串刺しにし、"MAKERS"というキーワードで分かりやすく伝えることで、ごっつぁんゴールを決めようとしているのかもしれない。

【参考】
MAKERS – The New Industrial Revolution by Chris Anderson
http://www.quirky.com/ 



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