ライターであり、科学技術やデザインに強い映像作家であるJohn Pavilus氏が、専門外の人にも技術的なアイデアを共有するコツをCo.Deignに寄稿している。エンジニアや営業職のみならず、サイエンスコミュニケーションといった分野の研究者も参考になる内容だといえる。『3 Tips For Selling A Geeky Idea To Everyone』と題された同記事を簡単に紹介したい。
Pavilus氏が具体的に挙げているのは、アメリカのラジオ局「NPR(National Public Radio)」の事例だ。「NPRのアプリをオープンソースで公開するってどういう事?オープンソースでコードが公開されている事ってなんでイイの?」という内容を、Pavilus氏は一本の動画に仕上げている。まずは同動画をご覧いただこう。
NPR, Android, and You
いかがだろう。オープンソースやプログラミングに詳しくない人にも分かりやすそうな説明に仕上がっているのがわかる。Pavilus氏は、ツールのデモ動画や、浅い解説動画(merely explaining or demo-ing something)と、本当の意味で「理解させるための動画(making sense of it)」というのは大きく異なると述べ、彼自身の用いている三つの戦略を説明している。
▶1. フィジカルに表現すること(MAKE IT PHYSICAL)
「把握する」「内容をつかむ」といったコトバに身体的な表現/物質と関わる表現が含まれているのは偶然ではない。実際にフィジカルな(モノの)表現に落としこんであげると、理解はおおきく深まる。
スマホのアプリケーションをホワイトボードで説明するのはどうだろう。巧く行くかもしれないが、注意しなければいけないのは、「ここでの複雑さ(スマホ)」を「あそこでの複雑さ(ホワイトボード上)」へと移す事だけに留まってしまう事だ。
そうならない為にも、物質や身体といった「フィジカル」な表現に落とし込むという方法は有効だ。例えば、Google Chrome Android版の広告はその良い例だ。
▶2. プロセスをみせるEXPOSE A PROCESS
NPRの例を参考にしてみよう。まず、オープンソースのアプリ制作とは何だろう。どう説明したら良いだろう。コード書いたり、クリックしたり、といったイメージが浮かぶ。でも、それじゃあ面白くない。プロセス自体がみえてこないからだ。
それを、こう置き換えてみるとどうだろう。一つのテーブルを大勢が囲み、何かを触り、切り貼りながら一緒に組み立てている。表現を変えるにより、視聴者の頭の中に「なにをしているんだろう?」「どうやっているんだろう?」という問いが浮かびやすくなる。Pavilus氏はこれを"プロセスの価値(process value)"と呼ぶ。誰かが何かを説明しているのは退屈だが、誰かが何かを作っているのを見るのは面白いものだ。
▶3. オドロキを加えるADD SOME MAGIC
上記二つは、現実世界の(フィジカルな)力を借りるというものだった。一方で、アイデアの世界は「現実を超えてくれる」という凄み、面白みを持つ。
上記動画でいう、手を振るアンドロイドのマスコットや、カラフルに踊るQWERTYキーだ。そういった、遊び心でオドロキというスパイスを加えると、観る者をぐっと引きつけることができる。
【リンク】
3 Tips For Selling A Geeky Idea To Everyone - Co.Design
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