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2012/03/09

デザイン思考の勘違い 〜プロトタイピングはプロセスそのものである〜

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米国大手デザインコンサルタント会社 IDEO のツイートに含まれていたmetacoolというブログ記事に以下の気になる記述がありました。

「デザイン思考」は今いろいろな解釈をされ、様々な定義がされています。そしてそれは良いデザイナーがどのように働くかという「線形的な」(ここでは何かを通らなければ次のステップに進めない、という意味で線形的なというコトバを使いました。)リストやステップの様に記されます。例えば
1. 理解
2. 観察
3. アイディア出し
4. プロトタイプ
5. テスト
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のようにです。

料理本のレシピを見るようにまずこれ、そしてこれ、次にこれ、というようなやり方は「デザイン」で起こるものとは違うのです。このような6つのステップなどどこにも存在しないのです。
確かに線形なプロセスは伝えるのも、状況を把握するのも非常に楽です。しかしデザインをしている最中には全ては同時に起こるのです。


 "Prototyping isn't a step in the process," he said.  "It is the process."
「プロトタイプはプロセスの中のステップではない。それ自身がプロセスなのだ」

と私の同僚が言うように。

確かにそうなのです。デザイナーはいつもプロトタイプをしています。頭の中で動き回っている出来事も、逆所得税をエクセルに入力している時も、道をヤスリのように使い木で何かをつくろうとしている時も。「プロトタイプの時間」が来るまでデザイナーは待つ、という考え方は間違っているのです。プロトタイプはデザインプロセスが始まった時から始まり、終わることは有りません。 (中略)
 

常にプロトタイプをしています。常にプロトタイプをしていなくてはなりません。プロトタイプとは、プロセスそのものなのです。

(原文に忠実に和訳してあるわけではありません。かなり省略しました)



ステップに落としこむことの難しさと簡単さ

現実の世界は高校までの数学などの問題と違い、何事にも「同じ解法」などありません。そこで同じ公式も当てはめられないと思うんです。もちろんどのようなフェーズがある、ということが分かることも等しく重要ではあると思います。しかし我々はあまりにも「まずこれをやって、次にこれをやる」というマニュアル通りに動くこと、手順を決めて動くことに慣れてしまっており、必要以上にそれを求めているかもしれないという事は否めないと思います。難しい問題を見れば見るほど、それを分かりやすく定式化してしまいたくなる気持ちは頭のいい人ほど持ち合わせているような気がします。

ただ、型にはまったものを作らないためには、形に当てはめないことが重要なのではないでしょうか

曖昧さを受け入れる、これはあなたのクリエイティビティを無くす為の21の方法でも書いてあるとおりクリエイティブなものを生み出す際には必要なことなのかもしれません。

筆者は以前スタンフォード大学のプログラムの一環で実際に企業と提携しながら1年間プロジェクトを進める、と言った形で「デザイン・シンキング」について学んできました。日本に帰ってきてからもそのコトバの魅力について調べている人、議論している人はたくさん居ましたが、同時に感じたことはステップを出しきろう、プロセスを定式化しようという努力が多いこと、でした。何が正しいなど無いと思います。ただデザインプロセスは線形なものではない、と真っ先に教わった自分には多少受け入れ難いものでした。そしてどちらの立ち位置からしても、双方は「勘違い」の様に取られるかもしれません。

もちろん企業単位で何かを浸透させるためにはプロセス的なものも必要です。日本の企業体制にはおそらく定式化し、線形のプロセスを定着させたほうが動きやすくはあると思います。ただそれを一旦見直し、「線形でない」プロセスの重要さについて考えてみる良いきっかけになればと思いこのブログを執筆いたしました。

個人的には、今あるステップというのはある程度 リスペクトすべきモノであるものの、とらわれる必要の無い物、だと思っています。観察よりも先にアイディアが来ても良く、アイディアの後に理解があっても良いと思うんです。そこから見えてくる物がきっとあるとおもうのですよね。Build to Think の概念しかり。

以下のように表現をしたKNLog: プロトタイプは息をするように作れの内容とかぶる部分もあるかもしれないのでそちらも合わせて御覧ください。

中田はジダンのことを「まるで息をしているかのようにプレーをする」と表現した用に、プロにとって、それは仕事ではなく生き方。
イチローは野球が生活で、明石家さんまさんは息を吐く時には必ず声が出ているといっていいほど、自然に仕事をしている。

だからきっとデザインプロジェクトに従事している人にとってプロトタイプは、そのくらいの重さでなくてはならないのかな、と考えることがあった。



参照
http://metacool.typepad.com/metacool/2012/03/prototyping-is-the-process.html
KNLog: プロトタイプは息をするように作れ

著者: Kenji (twitter: @K_Nishito)

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