【d.schoolメソッド】
2回目の今回は、エンパシーマップ(Empathy Map)という手法を紹介する。ユーザーのニーズや本音を理解する際に有効だ。d.schoolの提供しているUse-our-methodsより、以下に翻訳していく。
▶なぜ、エンパシーマップを使うのか?
良いデザインとは、デザインの先にあるユーザーへの深い理解に根ざしたものである。そして、デザイナーは、そうした人々への共感を可能にする為の様々なテクニックを持っている。
例えば、エンパシーマップ(共感図: Empathy Map)は、観察した結果を組み合わせ、それまで得られなかったようなインサイトを得るためのツールの一つだ。
▶どのように使うか?
■土台作り:
大きな台紙や、ホワイトボードに線を引き四分割する。そして、四つに分かれたそれぞれの場所に、フィールドワークで得た情報を載せていく(ノートにとったもの、録音したもの、ビデオに撮ったもの等)。ポストイットを使うと便利かもしれない。
- SAY(言う):ユーザーが口に出した言葉で気になったものは何だろう?
- DO(する):ユーザーのどんな行動や態度に気がついたか?
- THINK(考える):ユーザーが考えていることは何だろう?それは彼/彼女の価値観に関して何を教えてくれるだろう?
- FEEL(感情):ユーザーはどのような感情を抱いているだろうか?
*注意:考えや価値観、感覚、感情といったものは、直接観察できるものではない。様々な兆候に気を配ることでやっと、推測することができるようなものだ。
■ニーズを特定する:
「ニーズ」は、人々にとって、感情的もしくは身体的な必要事項である。そしてニーズは、デザインを方向づける助けとなってくれる。
*注意:ニーズは動詞である(〜したい)。名詞(具体的な解決法)ではない。
記述したユーザーの特徴から直接特定したり、二つの特徴の矛盾(言っていることと、行動が違うといった)から導き出すことができる。エンパシーマップの隅にニーズを書き込んでいこう。
■インサイトを特定する:
インサイト(≒ユーザーの本音)もまた、デザインを方向づけてくれる気づきを提供してくれる。インサイトはユーザーの『SAY/DO/THINK/FEEL』の中にあらわれる矛盾から導き出せることが多い。すなわち、一つの四分割図の中にある矛盾と、別のユーザーをあらわした二つの四分割図の間の相違点だ。
また、ユーザーの行動に対して抱いた「なぜ?」という疑問を大切にしてみて欲しい。
*FRADノート
以上、d.schoolメソッドが提供しているエンパシーマップ(Empathy Map)を翻訳した。以下にFlickrでみつけた(転載可能な)エンパシーマップの例を挙げていきたい。どうやら、『SAY/DO/THINK/FEEL』は四分割図の原型であり、さまざまに応用させて活用している事例が多い。
photo: via Marcfonteijin |
↑『THINK』と『FEEL』を一緒にしている点は気になるが、『SEE』や『HEAR』といったユーザーのインプットに気を使っている点が興味深い。また、『PAIN』や、『GAIN』の下が切れて写っていないが、これもまた気になる点だ。
photo: via shekman |
↑こちらは、女性と男性を比較したエンパシーマップ。項目は6つに増えている。男性は『SEE/SAY/KNOW/DO/FEEL/HEAR』、女性は『SEE/SAY/DO/FEELING/HEARING』と項目が一致していないのは、おそらくこの二枚を別々の人が作成したからであろう。こちらもインプットに気を使っている点が興味深い。
photo: via visualpun.ch |
『THINKING/SEEING-FEELING/DOING』が既に書かれており『HEARING』を記入している最中だと思われる。3Mのボードは便利そうだ。
出典: Use our methods - d.school
【CCライセンス】
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尚、オリジナルのコンテンツはスタンフォード大学d.schoolウェブサイト内にあります。
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